正解は一つじゃないーMr.Children『Any』が教えてくれるキャリアの真実【後編】

雑記
1.9.5-21B

前編では「Any」の1番の歌詞を通して、理想と現実の違いに戸惑いながらも、それが決して間違いではなく、キャリアには答えが一つではないことをお伝えしました。

後編では、2番以降の歌詞を取り上げます。
ここには「表面的な評価に嫌気がさして暗闇にもがく姿」や「小手先のやりくりでは何も変わらない」という、働く私たちが直面するリアルな葛藤が描かれています。
しかし同時に、「また描き足していける」という希望のメッセージも込められているのです。

ここからは、2番の歌詞をキャリアの視点で読み解きながら、“不完全な自分をどう受け入れ、どう未来を描き直すか” について考えてみたいと思います。

今いる場所にだって、確かな価値がある

いろんなことを犠牲にして 巻き添いにして
悦に浸って走った自分を時代のせいにしたんだ
「もっといいことはないか?」って言いながら
卓上の空論を振り回してばっか

Any(Mr.Children、2004年)

仕事に没頭しているとき、知らず知らずのうちに周囲の人や自分の生活を犠牲にして、成果や達成感に酔いしれる瞬間があります。
そして、その反動としてうまくいかなくなったときには「時代が悪い」「会社が悪い」と外に責任を求めてしまう。

一方で、口では「もっといい働き方はないか」「もっといいキャリアを築きたい」と言いながら、実際には机上の理屈ばかりを並べて行動しない自分もいる。

つまりここは、「走り抜けてきた過去」と「口先だけで変わろうとしない現在」への自己反省を描いている部分だと解釈できます。

本当の変化に必要なのは「覚悟」

そして僕は知ってしまった
小手先でやりくりしたって
何一つ変えられはしない

Any(Mr.Children、2004年)

働いていると、「目の前の状況をどうにかしよう」と小手先の工夫でやりくりしようとすることがあります。
残業を減らす方法を探したり、人間関係をうまくやり過ごそうとしたり、気持ちをごまかして続けたり…。
けれども、そんな場当たり的な工夫だけでは、結局「根本的な問題は何も変わらない」ことに気づいてしまうのです。
つまりここは、本当の変化には“小手先”ではなく、自分の覚悟や大きな決断が必要だという気づきを表している部分だと解釈できます。

理想と現実のあいだにある「すべて」が真実

今 僕のいる場所が 望んだものと違っても
悪くはない きっと答えは一つじゃない
「愛してる」と君が言う 口先だけだとしても
たまらなく嬉しくなるから それもまた僕にとって真実

Any(Mr.Children、2004年)

今いる職場や環境が、必ずしも自分が望んでいたものとは違っていたとしても、決して無駄ではない。
理想と現実が一致しなくても、それは「間違い」ではなく、キャリアにはいくつもの答えがあるのだと思わせてくれる。

また、誰かからの評価や感謝の言葉が、たとえ社交辞令のように感じられる瞬間があったとしても――それを受け取って嬉しいと感じる自分がいる。
その喜びこそが、「確かに自分はここで働いている」「ここに存在している」という小さな真実を教えてくれるのだ。

特別な瞬間ではなく、ありふれた日々に答えがある

交差点 信号機 排気ガスの匂い
クラクション 壁の落書き 破られたポスター

Any(Mr.Children、2004年)

仕事をしていると、華やかな成功や劇的な転機ばかりを求めがちです。
けれども実際は、交差点や信号機のような「立ち止まっては進む日常」、排気ガスやクラクションのような「ストレスや混乱」、落書きや破れたポスターのような「壊れた理想」といった、ごく普通の風景や経験の中にこそ、働く意味や気づきが隠れています。

キャリアは非日常の中にあるのではなく、こうした日常の積み重ねから作られていくのです。

不完全さの中にこそ、キャリアの真実がある

今 僕のいる場所が 探してたのと違っても
間違いじゃない いつも答えは一つじゃない
何度も手を加えた 汚れた自画像に ほら
また12色の心で 好きな背景を描きたして行く
また描きたして行く

そのすべて真実

Any(Mr.Children、2004年)

仕事をしていると、思い描いていた未来と違う場所に立っていることは少なくありません。
それでも「間違い」ではなく、答えは一つではない。

失敗や妥協で“汚れた”ように思える自分も、そのたびに色を塗り直して背景を描き足していくことで、唯一無二のキャリアの絵になっていきます。

そして――理想と現実の間で揺れながら描いてきたその全てが、紛れもなく「真実」なのです。

まとめ

Mr.Children「Any」に描かれているのは、理想と現実の間で揺れる人の心です。
「真実だと思ったものが嘘に見えることもあれば、嘘だと思っていたものから真実が生まれる」──そんな矛盾の中を、誰もが生き、働いています。

仕事においても同じです。
理想の職場ややりがいを求めても、現実は思い描いたものと違うことがあります。
時には表面的な承認に疲れ、嫌気がさして、自分の中の暗闇を掘り起こしてもがくこともあるでしょう。
また、成果に酔いしれて周囲を犠牲にしてしまったり、小手先のやりくりで何とかしようとしても、根本は変わらないと気づく瞬間も訪れます。

それでも「Any」は語りかけます。
望んだものと違っていても、それは間違いではない。
キャリアの答えは一つではなく、失敗や妥協で“汚れた自画像”も、何度でも色を塗り直して描き足していける。
そして、その過程のすべてが「真実」になるのだ、と。

最後に

キャリアに絶対的な正解はありません。
「間違った」と思える選択も、後から振り返れば自分を形づくる大切な一部になります。
描きかけの絵を前に立ち止まっても、また新しい色で描き足していけばいい。

Anyが伝えるのは、働く私たちにとっての“キャリアはつねに描き続けられるもの”だというメッセージです。

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