採用担当が見ている、介護職パート面接で“落とされない人”になる心得

介護

はじめに

「面接って、何を聞かれるんだろう」「何を準備しておけばいいの?」 介護職のパート採用に応募する際、こんな不安を抱える方は多いのではないでしょうか。

実は、面接というのは当日の対話だけで判断されるわけではありません。 求人応募の際の電話でのやりとりや、施設に訪れたときのふるまいも含めて、すでに“選考”は始まっているのです。

さらに、パート採用と正社員採用では、面接の目的や注目されるポイントにも違いがあります。 正社員では「将来的な成長性」や「責任のあるポジションを担えるか」といった視点が重視される一方で、パート面接では「シフトに柔軟に対応できるか」「人間関係を円滑に築けそうか」といった、日常業務への適応力が見られます。

今回は、介護施設で実際に採用や面接に関わってきた立場から、介護職(パート)の面接で注意すべきポイントや、施設長が見ている意外な視点について、現場のリアルな声を交えてわかりやすく解説します。

目次

  1. はじめに
  2. 選考は「電話の問い合わせ」から始まっている
  3. 「早すぎる到着」も常識を疑われる
  4. 「○○しかできません」はNGワード
  5. 面接会場で見られている“意外なポイント”
  6. 施設長が見ている5つのポイント
  7. 1. 真面目さ
  8. 2. コミュニケーション力
  9. 3. 融通のききやすさ
  10. 4. 雰囲気

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選考は「電話の問い合わせ」から始まっている

求人を見て「ちょっと気になるな」と思い、施設に電話をかける。 この“何気ない一歩”から、実は選考はすでに始まっています。

電話でのやり取りは、たとえ数分で終わるものであっても、応募者の人柄や態度がはっきり表れる場面です。 たとえば、名前を名乗らないまま話し出す、いきなり「募集してます?」といったフランクすぎる聞き方をする、あるいは語尾がきつく聞こえるなど、相手に与える印象はさまざまです。

施設長や採用担当は、日々多くの応募者と電話でやり取りしています。そのため、言葉遣いや声のトーン、受け答えの丁寧さなどを通して、応募者の“現場でのふるまい”を想像してしまうのです。

「この人、職員や利用者さんにも同じような態度をとるのでは?」という不安を持たれてしまえば、たとえ面接に進んでも、すでにマイナスからのスタート。 そこから印象を挽回するのは、思っている以上に難しいのが現実です。

「電話の時点から面接は始まっている」。そう意識して、明るく、丁寧に、落ち着いてやり取りすることが大切です。


「早すぎる到着」も常識を疑われる

面接に遅刻するのはもちろんNGですが、実は「早すぎる到着」も、かえって印象を悪くしてしまうことがあります。

たとえば、約束の時間の30分以上も前に来てしまうと、まだ業務中で対応できる職員がいなかったり、面接準備が整っていないこともあります。 突然来訪されることで、職場が慌ただしくなり、結果的に「気配りが足りない人」という印象を持たれてしまうこともあるのです。

常識的には、5〜10分前の到着がもっとも望ましいとされています。 この時間帯であれば、職場側にも心の準備があり、スムーズに受け入れてもらいやすくなります。

理想的には、面接時間より少し早めに施設の近くに到着し、周辺で軽く時間を調整してから5〜10分前に玄関へ向かうのがスマートです。 そのように行動することで、時間に余裕がある印象を与えるだけでなく、自分自身も落ち着いて面接に臨むことができます。

「早ければ早いほどいい」という思い込みは、時にマナー違反につながることもあります。 大切なのは、相手の立場や業務の状況を想像し、適切なタイミングで行動することです。

また、喫煙者の方は「早めに着いたから一服しておこう」と考えるかもしれませんが、面接直前の喫煙は控えるのが無難です。 本人は気づいていなくても、タバコの匂いは衣服や髪に残りやすく、面接室に入った瞬間に「におい」で印象を下げてしまうことがあります。 面接前だけでも我慢することが、良い第一印象を保つための賢い選択です。


「○○しかできません」はNGワード

「入浴介助はできません」「土日は出られません」など、最初から“できないこと”ばかりを並べてしまうと、面接官の印象は一気に厳しくなってしまいます。

たとえば「週に2日しか出られません」「○曜日の午前しか働けません」など、条件を先に強く出されると、採用側としては「この人は職場の状況に合わせる気がなさそう」と感じることもあります。

もちろん、体調や家庭の事情など、やむを得ない事情がある場合は正直に伝えることが大切です。 しかし、同じ内容でも伝え方ひとつで印象は大きく変わります。

たとえば「土日は家庭の事情で難しいのですが、平日はなるべく幅広く対応したいです」とか、「入浴介助は未経験ですが、教えていただければ挑戦したいです」といった、前向きで協力的な姿勢が伝わる言い方ができるかどうかが鍵です。

施設長が見ているのは、スキルそのものよりも「柔軟に対応できるか」「協力しようとする気持ちがあるか」。 融通が利かない人は、どうしても“扱いづらい”という印象を与えてしまうのです。


面接会場で見られている“意外なポイント”

介護職の面接では、実技試験がないことが多いため、応募者の技術的なスキルや具体的なケアの力量までは面接の場だけで判断することは難しいのが現実です。

だからこそ、面接官や施設長は「この人と一緒に働きたいか」「現場の雰囲気に合う人かどうか」といった、人柄や日常のふるまいから判断する材料を探しています。

たとえば:

  • 玄関で靴を丁寧にそろえることができているか
  • 面接室へ案内されるまでの間にすれ違った職員や利用者さんに、自然な笑顔であいさつができているか
  • 座る姿勢、表情、言葉遣い、相手の話を聞く態度が落ち着いていて丁寧か

こうした一つひとつのふるまいは、短時間の面接のなかでも想像以上に見られています。

「この人は、日頃から周囲に対して気配りができる人なのか」 「現場でも丁寧に、利用者さんと接してくれそうか」 そういった点を総合的に判断し、「一緒に働きたい」と思われるかどうかが大きな分かれ道になります。

面接というよりも“日常の延長線上でのふるまい”が評価されている、と意識しておくとよいでしょう。


施設長が見ている5つのポイント

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最後に、施設長が面接で重視している主なポイントを、現場の視点からわかりやすく整理しておきます。

1. 真面目さ

遅刻や無断欠勤がないか、時間や約束をしっかり守れるかといった基本的な姿勢は、最も重視されるポイントです。 介護現場では、誰かが休めば他の職員にしわ寄せが来てしまいます。 「当たり前のことを当たり前に守れるか」は、信頼のベースとなります。

2. コミュニケーション力

職員同士、また利用者さんとの関係性を良好に保てるかどうか。 自分の意見を押しつけず、相手の話にも耳を傾けながら、協力して働く姿勢が求められます。 元気なあいさつや、笑顔での対応ができることも大きな評価ポイントになります。

3. 融通のききやすさ

「この曜日しか出られません」など、条件を限定しすぎると、シフト調整が難しくなるため敬遠されがちです。 「〇曜日は難しいけれど、他の日は調整できます」といった前向きで協力的な姿勢があるかどうかが問われます。 柔軟に対応できる人は、チーム内でも重宝されます。

4. 雰囲気

 服装や髪型、表情や姿勢など、第一印象も大切です。 特別におしゃれをする必要はありませんが、清潔感があり、丁寧な受け答えができる人は「安心して任せられそう」と思ってもらえます。

5. 人の話を聞けるか

 指示をしっかり聞く姿勢があるか、注意を受け入れて改善しようとする柔軟さがあるかも見られます。

面接では、面接官の話を途中で遮って自分の話をしようとする人もいますが、これは非常に悪い印象を与えます。 たとえ良いアピール内容でも、相手の話を無視してまで話す姿勢は、「協調性がない」「独りよがり」と思われてしまいます。

まずは、相手の話を最後まで聞く。 そのうえで、自分の考えや意欲を丁寧に伝えることが、信頼を得る第一歩となります。


これは一発アウト

面接では、単に「印象が少し悪い」程度ではなく、その場で不採用が決まってしまうような致命的なNG行動もあります。 以下のようなケースは、たとえ他の点が良くても、採用を見送られる大きな原因になります。

1. 履歴書の日付が古い・写真が添付されていない

 履歴書の日付が何ヶ月も前のままだったり、写真が貼られていないまま提出されると、「この人は使い回している」「応募への熱意が感じられない」と判断されてしまいます。 採用側は多くの履歴書を見ているため、細かな違和感にもすぐに気づきます。 毎回書き直すのは手間かもしれませんが、応募のたびに最新の日付で記入し、証明写真も忘れずに添付しましょう。

2. 前職や以前の職場への不満・悪口を話す 

たとえ過去に嫌な経験があったとしても、面接の場で一方的に悪く言うと、「この人はトラブルを起こしやすいのでは?」「うちの施設のことも、外で悪く言うのでは?」と不安を持たれてしまいます。 ネガティブな体験でも、言い方を変えれば前向きな印象にできます。

3. 遅刻(連絡なし)

 理由がどうであれ、遅刻は面接官に「時間を守れない人」「信頼できない人」という強いマイナス印象を与えてしまいます。 もし交通機関の遅延や体調不良など、やむを得ない事情がある場合は、必ず事前に電話で連絡を入れるようにしましょう。 連絡があるかないかで、受ける印象は大きく変わります。 たとえ面接自体は実施してもらえたとしても、こうした遅刻による印象は簡単には払拭されず、不採用になる可能性が非常に高くなります。

4. 不適切な服装(清潔感がない、極端にラフ) 

介護の現場では、清潔感や常識的な身だしなみが重要視されます。 スーツでなくても構いませんが、スウェットやサンダル、ジャージなどは避けましょう。 「人と関わる仕事に対しての意識が足りない」と受け止められます。 シャツにカーディガンや、パンツスタイルなど、オフィスカジュアル程度の落ち着いた服装が安心です。

5. 不適切な言葉づかい(NGワード)を使う

特に気をつけたいのが、利用者さんへの表現です。 「認知症の方」について「ボケてるから」などと話してしまうと、知識や意識が古いままでアップデートされていないと見なされます。 実際にそのような発言で面接が途中終了となったケースもあるため、言葉づかいには細心の注意が必要です。 人を大切に扱う仕事だからこそ、言葉の選び方にも“人柄”が出ます。


おわりに

介護職の面接では、専門スキル以上に「一緒に働きたいと思えるかどうか」が重視されます。

「人手不足」と言われている介護業界ですが、実際には多くの人が求人に応募しており、施設側は“選ぶ側”としてしっかりと選考しています。

「人が足りないから、誰でもすぐに採用してもらえるだろう」と考えるのは、大きな誤解です。 施設長の立場からすれば、「この人じゃなくても、また別の応募が来るだろう」と判断することも少なくありません。

だからこそ、応募の電話をかけるときから、面接の最後まで、気を抜かず丁寧に対応する姿勢が求められます。

ちょっとした気配りや表情、言葉遣い、立ち居振る舞いなどが、面接官に好印象を与えるポイントになります。 逆に、「このくらいで大丈夫だろう」と気を抜いた行動が、不採用のきっかけになることもあります。

大切なのは、自分を必要以上によく見せようとすることではなく、「この現場で働く人たちと、うまくやっていけそうか」「利用者さんに安心して接してもらえるか」といった、“相手の視点”に立ったふるまいができるかどうかです。

面接は、「評価される場」であると同時に、「信頼を築くための最初のステップ」。

丁寧なあいさつ、落ち着いた話し方、前向きな気持ちを込めた受け答え——。 そういった積み重ねが、面接の場で「この人と働いてみたい」と思ってもらえる一番の近道です。

しっかりと準備をして、誠実な姿勢で面接に臨んでください。

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